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「桜の代紋」を外せば、警官は弱い存在

愛媛県警巡査部長
仙波敏郎 氏
仙波 ウソの報告書が公表された2週間後の10月1日に、愛媛県の警察官の拳銃大会がありました。私も出場しましたが、参加者は100人くらいいたと思います。
待ち時間には、この報告書の話題で持ちきりでした。だって拳銃大会に来るのは現場の者だけですからね。県下各地から、現場の警察官が集まってきていたのですが、裏金がらみで、あんなことがあった、こんなことがあったで妙な盛り上がり方をしましたね。
運営者 どんな話が出ましたか?
仙波 もうね、「よくも、あんなウソの報告書を出したものだ。不正は捜査協力費ばかりじゃない。カラ出張もいくらでもある」。「残業手当てでも、こんなインチキがあった」。そういう話ががゴロゴロ出てきたわけです。
そして「領収書はいつも書かされるし、こんなムチャクチャをやっておいてありゃなんだ」と。中にはね、「マスコミが来たら俺は旅費を裏金にするためにカラ出張をしていたことを全部ばらすで」という威勢の良い男もいました。
その男は私の後輩だったので、「おまえホントに言う覚悟はあるのか」と聞くと、「洗いざらい言う」と言うものですから、懇意な記者にその話をしましたよ。記者は喜んで取材に行ったようです。
運営者 証言してくれましたか?
仙波 いえ、一切言わなかったそうです。
運営者 どうしてそんな裏表のある態度を取ってしまうんでしょうか?
仙波 みんな自分が領収書を書いて不正に加担しているからですよ。自分に返って来ちゃうんです。
だから第二の仙波がいないのは、もし証言をしたら、「ではお前は私文書偽造をやったことを認めるんだな」と上司から聞かれますよ。証拠があっても、なくっても、「私文書を偽造をした」と本人が認めたら必ず処分されます。
運営者 処分しないわけにはいかないでしょうね。
仙波 だけど、「だれが領収書を書かせたか」ということはウヤムヤにされるでしょう。トカゲの尻尾切りになって終わるでしょう。それだけで信用失墜行為で処分されることになります。
つまり自分に返ってきてしまうわけです。そうでなかったとしても、それからその警察官は組織に冷遇され続けるでしょう。陽の目をみることはありません。裏金作りは警察にとって最大のタブーですからね。
運営者 仙波さんという見せしめが、すでにいますからね。「仙波みたいになるぞ」と。
仙波 それはみんな耐えられないですよ。弱いですよ、ウチの連中は。
運営者 「弱い」というのは、どういう意味ですか?
仙波 だってウチの連中は、警察という巨大な組織を後ろ盾にしているからそれらしく、いかめしく、頼もしくも見えるけれども、一人ひとりに分断されてしまったらみんな弱いもんですよ。巨大な力に頼っている分、普通の組織人よりもっと弱いかもしれない。
やっぱりね、一人では何もできない。組織あっての警察官という側面は否定できない。
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