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悲劇的な殺人事件

愛媛県警巡査部長
仙波敏郎 氏
運営者 告発後、県警からはさまざまな妨害工作があったようですが、その中で、県警は仙波さんの唯一の弱点であり、触れられたくないところを突いてきましたね。息子さんの起こした事件のことです。
仙波 はい。
運営者 松山市消防局中央消防署で95年に事件は起きました。衝撃的な事件だったので、私も報道は鮮明に覚えています。
息子さんは消防署員だったのですが、サーキットレースが好きで、休みをとっては全国のサーキットを回っておられた。ところが消防署の組織文化では、「休みを取る」ということ自体が問題視されたわけです。そうしたことが積み重なって組織的ないじめを受けて周囲とうまくいかなくなっていた。
息子さんのお話では、消防署長が包丁を振り回して自分への服従を迫ってきたために、それを取り上げて誤って相手を差し殺してしまったと?
仙波 そうではありません。署長が包丁を持って、「お前がわしを脅したんだから、クビになるぞ。だから辞めろ」と迫ったと息子は主張したのです。
「署長に脅されたんだと言っても、署長とお前の言うことと、世間はどちらを信用するんだ。もうここに包丁がある以上、お前がわしを脅したことになるんだぞ」と言われたと主張したのです。息子は、包丁を取り上げてしまえばいいんだ」と、判断してもみあいになりその過程で事件が起きてしまったのです。相手を制圧し、包丁を奪い取ったところでやめておけばよかったのですが、大変なことになるという混乱した中で、勢いあまって包丁で刺殺してしまったわけです。
運営者 しかし裁判では、そのような事実認定はされなかった?
仙波 今言ったことは、すべて否定されています。僕はその結果を受け入れるしかありません。しかし、息子の主張を信じる気持ちも変わりません。
東 警察と消防は同じように閉鎖的な階級社会ですよ。規則で定められた「休み」を取ることが問題視される。生活指導に名を借りた過剰な干渉が良く行われる。
周囲、特に上司はそういう息子さんを「問題のある人物」と見て干渉をますます強めるという状況があったのではないかと、裁判の記録を見て思いました。彼はそのせいで、職場で集団暴行も受けています。が、そういう事情は裁判には反映されなかった。当時の消防局長は県警の最高幹部の天下りでした。事件直後に彼は、「生活指導に対する逆恨みが動機」と発言、捜査と世論に予断を与えた。
運営者 なるほど。
仙波 オンブズえひめの弁護士さんたちに告発を頼まれたとき、事件のことが頭をよぎりました。だから、こう申し上げました。
「僕が裏金問題について記者会見をするのは簡単だ。しかし県警は必ずこの話を蒸し返してくる。私は息子のことだからどう思われても構わないが、先生方は警察をよくしようと考えられてやっているのに、足を引っ張ることになるんじゃないでしょうか。困るのは先生方じゃないですか」と。瞬間的にそう思いましたから。
僕個人を責める材料はありませんから、当然事件が攻撃材料にされるだろうと思いました。事実、事件を伝えた当時の新聞記事のコピーや怪文書の類が差出人不明で、僕を支持する関係者たちに繰り返し送られてきましたから。
運営者 支持者切り崩し策ですね。
仙波 そうしたら年長の弁護士さんが、「それは関係ないですよ。それを前面に出してくるならば、われわれは法的に対処しますから」と言ってくれました。
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